大山格之助(大山綱良)とは?大山巌や西郷隆盛との関係、西郷どんの格之助役を解説!

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大山格之助(大山綱良)はご存じですか?

誰?と多くの方が突っ込みを入れるかと思いますが、薩摩(鹿児島)出身の政治家で西郷隆盛が西南戦争を起こしたときに政府の県令(現在の県知事に当たる)でありながら西郷隆盛を資金的に援助した人物です。

西郷軍が敗れたあとは政府にその責任を問われ逮捕され、斬首されました。

大山綱良はなぜ自分の立場をかえりみず、命懸けで西郷隆盛を支援したのでしょうか?

NHK大河ドラマ「西郷どん」では北村有起哉(きたむらゆきや)が演じる大山綱良の若き時代にまで遡って、彼の生き様や西郷隆盛との関係を探ってみようと思います。

大山格之助(大山綱良)とは

文政8年11月6日(1825年12月15日)西郷隆盛よりも二年早く薩摩国鹿児島で樺山善助の次男として生まれ、24歳の時に大山四郎助の娘と結婚し婿養子となり大山姓となりました。

 

穏健派の精忠組に所属

西郷隆盛を中心に結成された精忠組に参加しましたが、井伊直弼暗殺や京への出兵を強行しようとする過激派ではなく、大久保利通や税所篤(さいしょあつし)らと同じ穏健派に属し、桜田門外の変では沸騰する精忠組過激派を押さえ込み、寺田屋事件でも大山巌・西郷従道らの説得に成功し投降させています。

 

鹿児島県の県令となる

戊辰戦争では奥羽鎮撫総督府(おううちんぶそうとくふ)の下参謀(しもさんぼう)となり、庄内藩と戦いますが連戦連敗を喫しています。

また、維新後に大楽源太郎(だいらくげんたろう・長州藩出身)らが日田県(現在の大分県)庁を襲撃したときに司令官として派遣されながら全く役に立たず、木戸孝允の怒りをかったとされています。

廃藩置県が行われたあとは鹿児島県の県令となりますが、同県出身者が県令になるのは異例の措置で、西南戦争が大事になったのはこの人事も大きく関与しています。

 

西郷隆盛との関係

若き頃に結成した精忠組が攘夷急進派に引きずられ、井伊直弼暗殺や京都出兵など攘夷浪士や他藩急進派との連携を深める中、島津久光による精忠組の藩政への取り込みに応じた大久保利通らと行動をともにした大山綱良は目付役にまで出世します。

これによって寺田屋事件では島津久光の上使として同士の説得に当たりますが一部の投降だけに終わり、結果9名もの死者をだす悲劇となり、精忠組はこの一件で事実上崩壊します。

この後は西郷隆盛や大久保利通らと薩摩藩倒幕派として活躍、戊辰戦争では下参謀、新政府では鹿児島県令となり、鹿児島に帰ることとなります。

 

西郷隆盛に資金援助

故郷に戻った大山綱良は西郷隆盛に与し、私学校の創設に当たっては銃隊学校と砲隊学校の設立資金を県の予算から捻出し西南戦争で活躍する多くの士卒を輩出させました。

これら西郷隆盛に与した資金は政府に納めるべき税金を使用していたため、大山綱良は租税を政府に一切納めずに流用、また県の役人に私学校関係者を当てるなど、完全に新政府に楯突く行動に出ました。

大山巌との関係

一部の歴史小説などで、大山綱良が後に陸軍元帥まで昇進した西郷隆盛の従兄弟にあたる大山巌(おおやまいわお)の兄と言う表記に出会うことがありますが、これは全くの事実誤認でこの二人に血縁関係はありません。

大山綱良は軍人としての才覚は全くなかったようで、戊辰戦争でもほとんど勝ち戦をしたことがなく、その後も軍事的才能を発揮したと言う資料は全く見つかっていません。

戊辰戦争から日清、日露戦争でその軍事的才能を遺憾なく発揮して、敵であったロシアからもその才能を高く評価された大山巌の兄として扱われては、大山綱良自身が相当に肩身の狭い思いをしたことだと思います。

 

剣客・大山綱良

大山綱良は薬丸兼武(やくまるかねたけ)、兼義(かねよし)親子に薬丸自顕流(やくまるじげんりゅう)を学び、奥伝である小太刀を極め、薩摩藩中随一の使い手だったそうです。

江戸で直心影流の長沼笑兵衛(ながぬましょうべぇ)に招かれ、立ち会いますがわずか一撃で打ち倒し、桂小五郎、高杉晋作ら多くの長州藩士が剣を学んだ神道無念流の斎藤弥九郎道場の塾頭と試合して、はじめの声が掛かるや否や相手に一撃を加え倒したとも言われています。

これらの逸話以外にも多くの伝聞史料が残っており、上記の話の真贋はともかく相当な手練れ、使い手であったことは間違いないと推測できます。

 

西郷どんの格之助役は?

2018年のNHK大河ドラマ「西郷どん」は西郷隆盛の生涯を描いてきますが、当然この中に大山格之助こと大山綱良が登場します。

演じる俳優は北村有起哉さんで、俳優北村和夫さんの息子さんで映画、ドラマで活躍されており、大河ドラマは2005年の「義経」、2011年の「江〜姫たちの戦国〜」、2013年の「八重の桜」に続き4作目となります。

また映画でも2017年の「関ヶ原」で井伊直政、2010年の「半次郎」では大久保一蔵(大久保利通)など時代劇ではバイプレイヤーとして重要な役柄を数多く演じています。

北村有起哉さんがどのような大山綱良像を作り上げるのか楽しみです。

 

大山綱良まとめ

幕末の薩摩藩に生まれ、維新の英雄と言われた西郷隆盛、大久保利通と同じ釜の飯を食べて青春期を過ごし、死地を潜り抜け明治維新の到来に一役買った大山綱良ですが、軍人としての才は全くなく、普通は薩摩出身者であれば軍人としての階級を有するものが多いのですが、彼は官僚としてしかその才能を買われなかったようです。

剣の道で名を成せる時代に生まれていれば剣の達人として歴史に名を残したかもしれませんが、時代は彼を西郷隆盛の支援者として選んだようです。

大山綱良無くして西郷軍は銃や弾薬の準備は出来ず、言い換えれば彼の存在が西南戦争での西郷軍の奮戦を生んだと言えます。

西南戦争終了後、大山綱良は租税の流用や西郷軍への資金提供の罪を問われ東京へ送還され、最終的には長崎で斬首されました。

西南戦争が起こったとき、西郷軍の幹部らを前に「維新のやり直しじゃあ」と笑いながら叫んだと言われる大山綱良は西郷隆盛を失い、斬首の身となった時の無念の思いは、いかほどのものだったのでしょうか。